I have translated my doctoral dissertation—which has consistently ranked first as the “most viewed item” in the Open University of Japan’s repository—into English and published it on Amazon.
1-2 先行研究と学校での授業(続き)
教師の何気ない発話やしぐさが,子どもの誤解(誤概念)を生むことがあります.
本研究は,この誤解をどうすれば修正できるかを明らかにすることが目的です.
具体的には,教師がどんな言葉や身振りで説明したときに,子どもが正しいイメージを絵図として描けるかを検証しました.
- 課題:教師の発話が原因で,子どもが言葉の意味を誤って理解(誤概念を形成)してしまうことがある.
- ねらい:教師の言葉やジェスチャーによって,その誤解をどう修正できるかを解明する.
- 手法:教師の説明を聞いた子どもが,頭の中でどのようなイメージ(心象)を思い浮かべているかを「絵」として表現させ,理解度を確認する。

今回は,環境の異なる2つの公立小学校で調査を行いました.
1. どんな子供たちを対象にしたのか?
- A校(農村部にある学校)
- 6年生(2010年10月):26名
- 6年生(2011年10月):28名
- B校(市街地にある学校)
- 4年生(2012年2月):31名
- 4年生(2015年1月):23名
2. 授業の裏側:あえて「言葉だけ」で情報を伝えるてみる.
子供たちに余計なプレッシャーを与えないよう,「これはテストじゃないからね!」としっかり伝えた上で,いつもの理科の授業として実施しました.
調査の手順は,次のようなシンプルなものです.
- 耳からの情報だけで勝負!
まだ習っていない「火山の種類」について,写真や動画は見せず,私の「言葉(音声)」だけで説明しました. - 記憶をたどって絵に描く
子供たちは,聞いた言葉の響きから「どんな形だろう?」と想像し,ワークシートに自由に火山の絵を描きます. - 伝わり具合をチェック
描き上がった絵を見ることで,「教師の言葉が,子供の頭の中でどう処理され,どう再現されたか」を分析しました.
3. 「映像」に頼らない,言葉のキャッチボール
もし子供たちが言葉を誤解していたら,どう修正するか.ここがこの調査の面白いポイントです.
- まずは「言葉の言い換え」から
タブレットやプロジェクターなどの映像資料はあえて使いません.教師側の「話し方や言葉選び」を変えることで,子供たちの頭の中のイメージ(記憶や知識)を修正できるか試しました. - 最終手段はジェスチャーと板書
それでもどうしても言葉だけでは伝わらない場合に限り,身振り手振りのジェスチャーや,黒板への板書でサポートしました.
4. この調査で目指したこと
この授業のゴールは,「言葉の響きから、自分の記憶の引き出し(スキーマ)を開け、正しいイメージを再生すること」です.
子供たちは「TATEJYOU(盾状)」「SEISOU(成層)」「SYOUJYOU(鐘状)」という聞き慣れない言葉から,それぞれの意味を必死に特定し,火山の形を描いていきました.
授業中は,私が机の間を回ったり(机間指導),挙手をさせたりして,子供たちのイメージの再現度をその場で確認.どのクラスでも同じ条件で言葉の実験ができるよう,一言一句をそろえた「授業のシナリオ」を作って挑みました.
次回は,その授業のシナリオについてです.
