記憶の再生について考えるブログ

児童がどのようにして学習内容を理解するかを実践経験をもとに紹介しています.

2025-01-01から1年間の記事一覧

理解はどこから始まるか:記憶痕跡とメタファーによる概念形成

今回は,「第1章 知識の獲得における言語の問題と概念化の実際」の 2.教師の発話だけでは,児童が言語を理解できない場合の対応 についてです. これは,次のようにまとめています. 「教師の発話だけでは,児童が言語を理解できない場合の概念形成について…

音は同じ、意味は違う—教育現場での言語のすれ違い       

今年も早いもので6月になりました.九州北部も梅雨に突入です. 今回は, 第1章 知識の獲得における言語の問題と概念化の実際の1-2 児童が,教師の発話する言語の概念を持ち合わせているが理解できない場合について紹介します. 皆さんは,先生が発話される…

見えない言葉と概念の壁

今回から本題に入っていきます. 第1章は「知識の獲得における言語の問題と概念化の実際」というタイトルです. この第1章は次の5つの章で構成されています. 1.児童が言語を理解できない具体的な場面 2.教師の発話だけでは,児童が言語を理解できない場合の…

よく読まれているページをまとめました

5月の中旬になりました.4月下旬からのドメインの変更に関して,www.kiokusaisei.comへのアクセスが出来なくなり,ご迷惑をおかけしています. 当ブログのURLは,サブドメインの www.kiokusaisei.com から,ネイキッドドメイン kiokusaisei.com への変更を行…

研究の骨格:博論における本論構成と主要概念

【お詫び】いつも丁寧にお読み頂き感謝申し上げます.さて先週頃から,このブログへのアクセスができない状況が続いていました. 原因は,URLのドメインを「www.kiokusaisei.com」から「kiokusaisei.com」に変更したために,サーバーの設定に手こずっていた…

「見える化」された児童の思考:記憶再生マップの分析による学習評価の可能性

いつも丁寧にお読み頂き,ありがとうございます.このブログでは,学校現場の先生方に,認知科学的視点を身に付けて頂きたく記事を書かせて頂いています. 一般的に教育学部では,認知科学に関する授業が行われていない場合が多いと感じています.従って授業…

1時間の追加で学力UP?脳科学に基づく学習法検証その②

前回は意味ネットワーク・モデルについてお話ししました.今回はその発展型としての記憶再生マップについてお話ししますが,その前にそもそも論として,なぜ意味ネットワーク・モデルの作成を学習行動として発想したのかについて説明します. 私はこれまで高…

1時間の追加で学力UP?脳科学に基づく学習法検証その①

3月になりました. このブログでは,学校現場の先生方が授業を計画されるときに,どのような学習行動を組み込むと児童・生徒が学習内容を理解できるようになるかについて,主に認知科学的な視点で記述しています. 現在は,放送大学学術リポジトリで2023.12…

教師の発話が児童の誤概念を形成するメカニズムとその検証方法

いつもご覧頂き,ありがとうございます. さてこの回は,私の博論に戻り,仮説検証の方法についてご説明いたします. 「仮説①」「教師の発話に起因する児童の誤概念は,教師の別の発話やジェスチャーにより修正される」 この仮説を設定した理由としては,学…

海馬とスキーマ:意味ある経験が学習を促す

前回の海馬の話は,納得いただけましたでしょうか.今回は予定を変更して,もう少し海馬について考えてみます. 前回の内容を補足しますが,海馬の記事を紹介している某サイトに,「海馬は地図が好き」みたいなことが書かれていたのですが,おそらく場所細胞…

海馬と学習:神経科学からの教育への示唆

今回は,海馬の学術的研究成果から考えられる学習法と本研究の仮説のまとめについて説明します. 小中高における現在の学習にとって重要なことは,文科省によって制定されている学習指導要領に則った授業内容を,教諭である先生方が独自の解釈を踏まえて構成…

意味ネットワークモデルによる概念再構成:児童の能動的な概念形成を促す

今回は,「仮説②」について説明します.本年もよろしくお願いいたします. 仮説②「児童の知識モデルとして,意味ネットワーク・モデルの手法により,児童が自己の概念を概観できる形で表象し,それらの関係性を考える機会や他の児童に説明する機会を設けるこ…